麻酔は出産直前のみ!無痛じゃなかった無痛分娩 -37歳妊婦の出産当日記録その1「準備」

最近ニュースでも話題になった無痛分娩です。
「硬膜外麻酔分娩」と言い、背中や腰から硬膜外へ麻酔液を流し下半身の痛みを取る麻酔方法で、欧米各国では半数以上の出産例が無痛分娩のようですが、日本ではまだ低割合とのこと。

私は無痛分娩で出産しましたので、そのレビューと出産時の記録を残しておきたいと思います。

無痛分娩を選んだ理由

「陣痛の痛みを乗り越えないと出産とはいえない」だとか「腹を痛めて産んでこそ母性だ」だとか、そんな意見もあるようですが、私は単純に「痛みを選ばなくても良い」と思うんですよね。
もちろん諸般のリスクも伴いますが、医療や出産におけるリスクなんて何をしてもついてまわるもので、私は問題視しませんでした。
事故はないに越したことはありませんが、普通分娩で麻酔なしだったといって医療事故がないわけでもありませんしね。

私の出産時期より少し前に、無痛分娩での麻酔事故の大きな話題がありました。
産後に他の産婦さんと話をしたときに「無痛希望していたけどニュースを見て反対されたから辞めた」といっていたかたもいました。
結局は自身と周囲の納得のできるかたちでの選択をすればいいのではないかと思います。

私のかかった産院では無痛分娩を選択できたことと、費用は3万円でそれほど高額ではなかったこと、なにより「先生が推奨していた」ことが決め手となり、私は無痛分娩を選択しました。
世間には「否定派」の先生や助産師さんもいるようですが、私のかかった先生は推奨派。
「10の痛みのうち5~8くらいには抑えられます。お母さんのストレスと負担を軽減することで、赤ちゃんへの負担も抑えられます」とのこと。
「昔は痛くて辛くて当たり前でしたが、今は軽減できる方法がある」「普通分娩でも麻酔分娩でも、帝王切開でも、お子さんに対する母性や愛情がかわることはない」とも言われていました。

入院準備をして病院で診察

37週の妊婦健診時に「近日中に破水する」宣言を受け、破水しなかったら3日後に入院準備をして診察予定でした。

外来の診察開始時間より前に来るように指示されていたので、受付で「破水の確認の診察です」と伝えると、そのまま中待合・診察室へと通されました。
前回の診察後に少しお腹が張ったことと、腹痛はあったけど不定期でそれほど痛みは強くなかったことなどを伝え、内診開始。

なんだかいつもよりグリグリが強いなと思っていたら、カーテンの向こうから先生がリトマス試験紙のようなものを差出され、「色が変わってるの見える?羊水の反応があるから破水してますよ」と伝えられる。
破水のイメージって「股からお湯がジャバー」だと思っていたんですが、子宮の上のほうで破水すると少量ずつ漏れるのでわからないことが多いとのことでした。
子宮口の開きは4cmほどだけどまだ硬く、赤ちゃんもそれほど下がってきていないとのことです。

破水が確認されたので、帰宅せずにこれから入院して出産になること、陣痛が起こる前に無痛分娩の用意をすることを説明され、子宮口を広げる風船を入れる処置をされました。
この処置が痛いのなんの!
数分の処置中はズーングリグリズーンと鈍痛が続くが、反応して力がはいると先生に怒られるので、必死に「こんにゃく…私はこんにゃく…蒟蒻をイメージして…痛くないいたくない」と自分をごまかす。
これまで内診でそれほど痛みを感じたことがなかったので、この時点でもう既に出産に対して怖気図きました。

いよいよ出産!無痛分娩の準備は恐怖MAX

診察室を出ると、そのままLDR室へと案内される。
陣痛・分娩・産後の回復を同室で行うらしく、室内にはトイレやソファなどもありました。
入室して荷物を置くと、とりあえず渡された手術着に着替えるように促される。
背中の開いた薄い手術着と、産褥パットをつけた大きな産褥ショーツに着替えたころには、点滴や麻酔の機械と、陣痛促進剤の機械など、いろいろなものが運び込まれていました。

暫くすると先生が現れ、麻酔の準備が始まります。
横向きに背中をまるめ腰あたりに麻酔の針をさして準備するようなんですが、これが怖いのなんの!

私自身の緊張も高まっているので、冷たい消毒液や針が触れると身体が動いてしまい怒られる。
怒られて委縮して益々緊張して力が入り、そしてまた怒られる悪循環。

いや、動くと危ないのは重々理解していますよ。
でもそんなに怒らなくてもと思うぐらい「危ないから動かないで!」と先生と看護師と助産師の三人がかりで怒られ、完全に委縮。
消毒して、針を入れるための麻酔をして、腰から硬膜外へ針を挿入する、15分くらいの処置だったようですが、とても長い時間に感じ緊張と恐怖感でいっぱいでした。

この時はまだ陣痛はきていなかったので、お腹が痛いということはなかったんですが、前かがみ状態で圧迫されて肋骨がミシミシと痛かったです。
あとは、お腹も張ってきて苦しくなっていました。

無事出産に至りましたが、この時の恐怖と緊張は出産そのものにも勝る思い出です。


いやほんと、分娩時を思い出すと、この「準備時間」が一番印象に残って怖かった時間です。
この後の出産当時のことは、徐々に思い出が薄れつつあるのですが、この時の恐怖は忘れそうにありませんし、今もなお「もう少し優しい対応をしてくれても良かったのでは」とモヤモヤしてしまいます。

次回、その2「本番」へと続きます。